2017年、西荻窪で盆栽屋さんの内装を作らせていただきました。
コンクリート打ちっぱなしのスケルトンの状態からの設計で、壁、天井などの造作物は大工さんが製作し、私は床部分と蹲、植栽などを担当することに。
ちょうどそのタイミングで作っていた三和土(たたき)のサンプルがあったため提案させていただいたところ、快く了承していただきました。
三和土とは、「土、石灰、ニガリ」を混ぜ合わせ、金ゴテなどで叩き、締め固めていく伝統的な工法で、仕上がるとコンクリートのようにガチガチに固まります。
しかし、主成分が土なため透水性があり、屋外などでは水はけが良く、環境に優しい天然素材です。
施工はなかなか根気のいる作業です。
今回使ったのは京都の深草砂利という土。
3回に分けて材料を足しながら、元の三分の一くらいまで叩き締めていきます。
途中上がって来る水分をスポンジなどで取りながら、とにかく平に、根気強くたたいていきます。
今回の工事では床面と蹲のほかに、カウンターテーブルの表面の土壁の施工もさせて頂きました。
カウンター本体は大工さんが製作し、そこへ竹で小舞下地を組み、土を塗りました。
壁は大工さんが珪藻土を塗り、実に柔らかい雰囲気の天然素材たっぷりのお店に仕上がりました。
現在では盆栽屋さんはやめてしまわれましたが、この雰囲気を気に入ってくれた方が、そのままレコード屋さんとしてお店を使ってくれているそうです。