半纏のおはなし

半纏といえば、サザエさんに出てくる植木屋さんや大工さんは今でも半纏姿ですが、実際はお祭りくらいでしかほとんど見かけませんね。

では今でも半纏を着て仕事している人にはどんな職業があるでしょう?
私が見た限りだと、酒蔵や伝統工芸の職人さん、それに消防団の人など。
街中では材木屋さんが半纏姿で配達しているのを見たことがありますね。

そして我々庭師もその一つ。
(私の仲間内で半纏を着ている職人さんは一人もいませんが・・笑)
そんな半纏姿で仕事ができる数すくない職業ですから、これはもう特権だと思って、許される条件であればなるべく半纏を着て仕事をするようにしています。

職人が着る半纏には通い半纏と作業半纏の二つがあります。
通いは文字通り通勤の時に着る半纏のことで、打ち合わせやご挨拶の時など、作業以外の時は全てこれを着ます。
半纏の長さはお尻が隠れる程度で、袖も広めになっています。

それに比べ、作業半纏は帯締めした時にお尻が半分出るくらいの長さで、帯で締めることを想定して少し前が長めになっています。
それから袖が鯉の口のようにつぼまっていて、脇の下も丸く余裕を持たせてあります。
作業性を重視した作りになっているんですね。

現在我々職人が着る半纏は、背中に自分の屋号や家紋、マークなどが入っていることがほとんどですが、昔はお出入りさせてもらっているお屋敷からそこの家紋が入った半纏を頂いてそれを着て仕事をしたそうです。

その半纏を着ていれば雇い主がわかる。「俺は〜家に出入りしてるんだぞ!」みたいなステータス感があったみたいですね。
そして正月ともなれば、お出入り先の半纏を全て着て挨拶回りをして、一軒一軒回るたびに半纏を脱いで、最後に一番のごひいき先を回ったそうです。
もちろん半纏を着ている数だけ仕事がある訳ですから、それも自慢というか、これ見よがしに来て回ったのが想像できますね笑。

話は違いますが、大工さんなんかも江戸時代に大名家から出入りを許された職人になると大名家の名の入った提灯をもらい、それを自宅の軒先に吊るすのが自慢だったそうです。
昔のこういった見栄っ張り、なんだか面白いですね笑。

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