土壁と三和土の試作

すっかりと春ですね!
今日は「寒の戻り」といった感じでしたが、着実に暖かくなってきています。
桜は満開!カイドウも咲き始めましたね。
さて、今日は試作のお話し。
僕はたまに休みの日を使って仲間や元修行先の親方といろいろな試作をしています。
で、ここのところ夢中になっているテーマは「土塀」と「三和土(たたき)」。
土塀は、いずれは様々なものを試作するつもりですが、今はその前の段階で材料の調合の具合や、土の違いによる風合い差なんかをいろいろと試しています。
土壁は大阪の庭つくりでも作りましたが、その時は中塗り用として売られている材料を使いました。
今回はその辺で取れる土を使って試すのも目的の一つ。
三和土は、今で言うセメントのようなものです。
土などに石灰、にがり(最近では塩化マグネシウムなど)などを混ぜ、根気強く叩きしめ、固めて土間などに使います。
こちらも土塀同様、材料による風合いの違いや特性、強度なんかを試しています。
実際の試作の模様です。
土は近所でとれた赤土をふるいにかけて材料とします。
下地は廃材を使って小舞(こまい)をくみ、土を絡ませます。
僕らが作りたい土塀のイメージは数奇屋造りの家に合うような綺麗に仕上げたものではなく、どちらかというと農家の納屋の壁や朽ちてひび割れたざっぱりとした風合いのもの。
なので下塗りや中塗りと呼ばれる程度の仕上がりを想定して試してゆきます。
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まずは小舞を組みます(折原親方)。
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出来上がり。
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赤土に石灰、藁すさを混ぜたものを塗りこみます。
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まだ半乾きの状態ですがこんな感じになりました!
土の壁はいいですねー。
日本の昔の家はみんな土と木と紙で出来ていました。
しかもそれは本来何百年でももつもの。
そういえば昨年金沢に行った際、まだ使える古民家が年間数百件のレベルで壊されている、という事実を知りました。
失われていく理由が天災や戦災ではなく、我々日本人の生活環境や価値観の変化によるものだというのは非常に悲しいですね。
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三和土の方はこんな感じです。
三和土はヒートアイランドのような地熱を押さえたり、足にも優しく、水分を吸収して調湿効果もあり、本当に良いものです。
そして何より、ぬくもりと清浄感を感じます。
これから少しずつでも見直されていくことに期待します。
今回はこの辺で、また試作の続きを載せたいと思います!