今回は先日、僕が修行をさせていただいた「植一」の折原親方のお仕事のお手伝いです。
その中でも雨落ちの補修のことを載せたいと思います。
このお庭は折原親方が作った庭で、高輪のとある高台の個人のお宅にあります。
大分年数もたったので、少し補修をすることになりました。
またまたビフォア写真は撮っていないのですが(いつも作業途中で気づくもので・・)、特に雨落ちの部分が汚くなってしまったのでそこを中心に行いました。
雨落ちとは、屋根伝いに落ちてくる雨が落ち着く場所です。
日本では庭と部屋内との境界を軒下や縁側と呼ばれる部分でつないであります。
軒下とは大きくせり出した「土庇(どびざし)」の下の部分で、床面はタタキ(三和土と書きます)という土を固めたものでできています。
これが一つの間として存在しており、雨の多いお国柄もあってか、この中間の部分が非常に大切な、そして、日本らしい空間となっています。
そして、この庇から落ちてくる雨水を、瓦などで区切った「雨落ち」に落とし、水溜りや泥はねを防ぎました。
雨落ちの下は大概は深く掘り下げてあり、砂利などの隙間から水が浸透し、そこへ溜まる、もしくはどこか排水マスへと水を導く仕組みになっています。
今回の雨落ちは、透水管というパイプが埋め込まれてあり、水かこの中を通って排水マスへ流れる仕組み。
しかし年月がたち、砂利部分に土が混ざってうまく水が浸透しないようになっていたのでそれを改善します。
まずは透水管の見えるところまで、元の砂利と混ざった土を漉き取ります。
奥は折原親方、そして手前は兄弟子です。
写真にはありませんが、「ふるい」を使って、すきとった砂利と土をきれいに分けます。
そして透水管に土の混入を防ぐためのシートを巻きつけ、その上に分けた砂利を戻します。
その上にまた透水シート、土の順番で戻し、よく締め固めてから新しい砂利を敷きこみます。
土までもどしたところ
この時、雨落ち以外の飛び石の周りにも砂利を新しく敷き詰めますが、雨落ちの砂利はふわっと自然にならし、飛び石部分の砂利は平らになるようにキッチリと押さえます。
しかも親方のこだわりで、石の種類も微妙に変えてあります。
こちら
親方は仕事に非常にこだわりが強く、うるさい人で、この日も他の部分で木の根元に砂利を巻く作業で「こういう仕事は木の根元の仕上げを見せる仕事だ、植栽も根際を見せるんだぞ」と上ばかりじゃなく、根元にこそ最善の注意を払え、と教えられました。
「根際を見せる!」
恥ずかしながら、また一つ教わった気がします。
とにかく親方と仕事をすると、本当に雑談の言葉一つ聞き逃せません、勉強になりますから。
そして完成の景がこちら。
仕上がりからは想像がつかないほど、手間を掛けております。
この庭はいわゆる「和洋折衷」の庭。
なので瓦は和風になり過ぎないように意識して並べてあります。
もし和風でいくのなら「りゃんこ」といって、互い違いに並べる方がより雰囲気が出ます。
雨落ちの前の部分は花壇です、こちらでは枕木で足場だけをつくって、あとはおうちの方に自由に花などを植えてもらいます。
そしてこの庭、なんと一番メインののリビングの前にドンと大きなモミジが植わっております。
そしてそのモミジの幹越しに他を眺めるといった作り。
そのおかげで、本来それほど広さの無い庭が、対比でとても広く目に映ります。
でも、窓の前に木を植えるなんてなかなかできることじゃありません、正直理解されづらいこと。
これをやってのけた親方には本当に頭が下がります。さすが!と心の中でつぶやきました。