いよいよ関東も入梅したみたいですね。
これからしばらくはジメジメとした日々が続きますが、しとしとと降る雨はそれはそれで、なかなか風情があっていい気もします。
仕事で雨は嫌ですが、休みの日に雨が降っていると無理に外に出かけることも無く、なんとなく得した気分になるのは僕だけでしょうか??
雨と言えば、以前、金沢へ旅行へ行ったとき、町中が木の香りでいっぱいになっていた事を思い出します。
僕は旅行は良く雨にあたるのですが、この日もまた雨でした・・。
一泊二日の弾丸旅行、目的はこの年特別公開している「清香軒(せいこうけん)」という茶室を見ることでした。
清香軒 残念ながら写真撮影禁止だったので本に載っていたものです
清香軒は成巽閣(せいそんかく)という加賀百万石の大名、前田家の奥方の為に造られた奥方御殿の中にあるお茶室で、普段は公開してなく、去年の11月30日まで特別公開していると言うことを知り、ギリギリの11月に無理やり仕事を空けて見に行きました。
清香軒の何が見たかったというと軒内に造られた路地です。
路地とはお茶室の茶庭の事をいいます。
路地には一重路地や二重路地などがあり造りは流派によって様々ですが、その中には客人が待つための待合いや手を洗うための蹲(つくばい)などがあります。
通常それらは屋外にあるのですが、金沢は雪国の為、雪が降っても路地が機能するよう、それらを軒内に造っています。
軒はとても広く取られ、外にある流れが軒内にまで引き込まれ、軒内、つまり屋根の下に飛び石が打ってあり、水が流れ、路地が存在しているんです。
それは本当に素晴らしいものでした。
日本はもともと軒や土庇(どひさし)という機能で庭と部屋内との境界をあいまいにし、外と内とにあえて繋がりを造ってきました。
また庭の向こうには山などの景色を借景として望み、部屋から山までを一つなぎとして空間を造るなどして、常に外との関わりを意識してきたんですね。
この清香軒ではまさにその究極を見たように思いました。
話しは戻りますが、そんな目的で金沢へ行ったわけですが、一泊二日とは言え5時間も掛けてせっかく来たのだから急ぎ足で色々と廻りました。
その中で金沢と言えば、と言うくらい有名な茶屋街に行ったときです。
しばらく止んでいた雨がザーッと降ってきました。
するとたちまち町中が木の香りに包まれました。
金沢にはいたるところに江戸時代からの古い家屋が建っているので、その匂いは壁の杉板からのものだったのでしょうか?
でも京都や郡上八幡など、他の町では気づかなかったのですが、金沢では本当に町中に木の香りが立ち込めていました。
東京で言えば新木場の辺りに近い香りでしょうか。
東京の街中で雨が降ると、下水の匂いが上がってきたりして嫌な気持ちになることもありますが、雨が降っていい香りが立ち込めるなんて逆に得した気分になりますよね。
雨が嫌いじゃなくなります。
そんなことを思い出したので書いてみましたが、雨の旅もまた良いもんです。